2016年 8月の特集腰痛について
1.日本の国民病とも言える「腰痛症」
腰痛は、男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状で、その数は増加の一途。
腰は、腰椎と呼ばれる5つの骨がブロックのように積み上げられて構成されています。
腰痛の多くは、腰椎に負担がかかったり障害が起きることで発症しますが、その他にもさまざまな要因が腰痛の発症に関係しています。
2.原因
腰痛症の原因はさまざまですが、腰痛のうち原因が特定できるものは、わずか15%程度といわれています。
原因が特定できる腰痛
1)腰椎を直接障害するもの
腰椎椎間板ヘルニア/腰部脊柱管狭窄/背骨の骨折/骨への細菌感染やがんの骨転移
2)腰椎を障害しないが、臓器の周囲にある神経を刺激するもの
胃潰瘍など消化器系の病気/尿路結石など泌尿器系の病気/子宮筋腫など婦人科系の病気/解離性大動脈瘤など循環器系の病気
残りの約85%は、レントゲンなどの検査をしても原因が特定できないといわれています。
3.内臓の病気が原因の場合の症状
胃潰瘍(いかいよう)
胃潰瘍の症状に、腰痛の他、腹痛やみぞおちの痛みなど
通常の胃炎とよく似た症状のため、はっきりと診断をするためには医療機関で胃カメラなどの検査を受ける必要がある
十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
十二指腸潰瘍の症状の一つとして腰痛が現れることが多い。その他、感じる自覚症状として腹痛(みぞおちあたり)、食欲減退、胸やけなど
強い上腹部痛を伴う場合は、胃・十二指腸潰瘍の穿孔が考えられ、吐血や下血を伴う場合は、胃または十二指腸粘膜からの出血が考えられ、この場合至急救急外来を受診すること。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腰の片側が痛む他、発熱・頻尿・血尿・白濁尿といった膀胱炎の症状、悪寒、ふるえ、わき腹痛など
腎臓結石(じんぞうけっせき)
慢性的な痛みが腰の片側(石のある腎臓側)だけ出る他、激痛、血尿、嘔吐は発熱など
尿路結石(にょうろけっせき)
尿路に原因があり背中・腰・側腹部にかけ刺し込むような強い痛みが起きることがある
卵巣膿腫(らんそうのうしゅ)
卵巣の中に何らかの成分が溜まることで、卵巣が嚢(=袋)状に大きく腫れてしまう病気
のう腫が周囲の膀胱や尿管を圧迫すれば頻尿を起こしたりしますし、また、腸が圧迫されれば便秘が起る。月経時以外の腰痛、腹痛も。
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮内に腫瘍ができてしまう状態で子宮筋腫が大きくなると骨盤や背骨の神経を圧迫してしまい、慢性的な腰痛の症状が出る
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
子宮内膜症とは、子宮の内側の膜が、本来とは違う場所の、卵管、卵巣、腹膜、腸などに増殖して、働きをしてしまう病気で月経過多や下腹部の痛み、排便痛、性交痛などが知られていますが、それぞれの「痛み」は病巣ができた位置と関係しています
位置的に腰に近い病巣の痛みが強くなると、その痛みを腰痛として認識してしまう場合がある
腰痛の原因はさまざまであり、原因に応じて腰の痛み方も少しずつ異なります。
ただの腰痛だと思っていても、中には重大な病気が隠れていることも。
腰痛の原因がわからない場合は病院を受診し、どのようにどの位置の腰が痛いか、腰以外にどこが痛いかを伝え、早期発見、早期治療につなげることが大切です。